Nature ハイライト 生理:概日リズムでスリムになる 2008年12月18日 Nature 456, 7224 核内受容体コリプレッサー1(Ncor1)は、胚発生に必要な酵素ヒストンデアセチラーゼ3(Hdac3)の活性化因子だが、生理機能は不明である。Ncor1をもたないノックアウトマウスを用いた実験で、Ncor1-Hdac3の相互作用を破壊すると時計遺伝子の調節が乱れ、睡眠覚醒周期が正常な場合の24時間ではなく23時間に近づくなど、概日行動に異常が生じることが明らかになった。またこのマウスは、エネルギー消費が増加するために正常マウスよりもやせ形で、インスリン感受性が高くなった。in vivoで機能をもったNcor1-Hdac3複合体が失われると、一部の代謝遺伝子の振動パターンが変化したことから、正常なエネルギー収支に代謝の概日リズムの調節が不可欠なことが明らかになった。Ncor1-Hdac3酵素を標的にすることは、肥満や糖尿病といった栄養ストレスがかかわる病気の、極めて特異性の高い治療法になるかもしれない。 2008年12月18日号の Nature ハイライト 宇宙:どこもかしこもメーザー、メーザー 化学:新しいキラル触媒 地球:海底地形の起伏を調べる 進化:LUCAの好みは変わりやすい 生態:温暖化が侵入植物種を生み出す 進化:元気なY染色体 細胞:神経冠細胞の「接近遭遇」 医学:RNAiは心疾患の疾患標的 生理:概日リズムでスリムになる 目次へ戻る