Nature ハイライト 発生:チェックとバランス 2009年2月19日 Nature 457, 7232 胚の発生の際には、まず神経細胞が過剰に作られ、これらのニューロンとその長い突起(軸索)の多くはその後、自然退縮の過程で除かれる。Nikolaevたちは、アポトーシスを誘導するタンパク質DR6(デス受容体6)が、この自然退縮過程の調節因子の1つであることを突き止めた。DR6はAPP(βアミロイド前駆体タンパク質)に結合することで作用する。膜貫通タンパク質であるAPPの機能はまだわかっていないが、ヒトの遺伝学研究でアルツハイマー病との関連が疑われている。ニューロンの典型的なアポトーシスではカスパーゼ3が必要だが、DR6/APPが誘導する退縮はこれとは異なり、カスパーゼ6の活性化が必要である。この知見は、APPの細胞外断片がDR6とカスパーゼ6を介して働いて、アルツハイマー病の神経変性の一因となっている可能性を示唆している。 2009年2月19日号の Nature ハイライト 進化:リボソームの複雑な経歴 発生:チェックとバランス 宇宙:しし座リングの星 計測:進行波NMR 材料:コロイドの花を咲かせる 環境:熱帯林がとらえる炭素量 発生:巻貝の巻き方 疫学:疫学にも役立つグーグル 細胞:低分子RNAとCUT 目次へ戻る