Nature ハイライト

Cover Story:景気後退を耐え抜く方法:科学と全世界的引き締め

Nature 457, 7232

科学はどうやったら、この経済的不況を成功の糧にすることができるだろうか。p.957の序文から始まる7つの記事では、政策、歴史、経済、技術革新の専門家たちが役に立ちそうな助言を行っている。J Sachsは、先進国は今こそ、発展途上国に投資して環境の持続可能性を確保するべきだと述べている(p.958)。I Taylorは、非現実的な研究への過剰な資金投入を戒め、すぐに応用に結びつくような着想に集中すべきだと論じている(p.958)。E Rauchwayは、米国政府が1929年の世界大恐慌に立ち向かうためにとった対策が、科学に副次的にもたらした影響を考えれば勇気づけられると述べている(p.959)。日本においても、角南篤と黒川清が解説しているように、景気後退が拍車をかけた1990年代の「失われた10年」は、結果として基礎研究のレベルを押し上げることになった(p.960)。J Browningの新興企業へのアドバイスは、売れるものは何でも売り、コストは思い切って削減せよとというものだ(p.961)。N Hertzは、世界資本主義がこれまでよりも平等主義的になる好機だとみている(p.962)。そしてJ Geanakopolosは、経済学者や政府に次の景気後退の発生を防止する策を教えている。最も重要なのは担保であり、政府はそのことを忘れずに、貸付金の調整を行わなければいけないというのだ(p.963)。さらに興味のある方は、www.nature.com/ recessionwatchとwww.nature.com/podcastをご覧いただきたい。

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