Nature ハイライト 物性:解明が進む超伝導 2009年1月29日 Nature 457, 7229 鉄-ヒ素(鉄プニクタイド)化合物で、56 Kという転移温度を示す超伝導が観測され、高Tc銅酸化物との比較がなされるようになっている。銅酸化物は準二次元的電子特性をもつため、40 Kを超える超伝導には極めて高い異方性(方向依存性)が存在するだろう、と考えられるようになった。Yuanたちは、この予想は当たっておらず、実際には、(Ba,K)Fe2As2の超伝導特性は全く等方的であることを報告している。この挙動は、既知のすべての層状超伝導体と著しく異なっている(Letter p.565)。電子密度波は、多くの種類の超伝導体で観測されており、超伝導の必要条件と見なされることが多い。鉄-ヒ素化合物に関する最近の研究では、密度波と超伝導の間に、見かけ上は関連性がないことが明らかにされた。しかし、そうした関連性は再検討が必要かもしれない。Zabolotnyyたちは、Ba1−xKxFe2As2の電子構造中に、ある種の秩序が存在することを報告している。その電子秩序は超伝導と共存し、室温まで持続する(Letter p.569)。 2009年1月29日号の Nature ハイライト 遺伝:モロコシのゲノムを収穫 免疫:キラー細胞の記憶 物性:解明が進む超伝導 有機化学:細胞毒素が合成された 海洋:見逃されていた大増殖 免疫:免疫系をだますダニのアレルゲン 医学:大腸菌ワクチンの標的 医学:メラノーマの変異遺伝子 細胞:実生活でのDNA修復 目次へ戻る