Nature ハイライト 生理:絶食で長生きする 2009年2月5日 Nature 457, 7230 さまざまな種類の生物で、食餌制限が寿命を延ばすことがあるのが知られている。哺乳類では、カロリー摂取量をほとんど、あるいはまったく減らさなくても、断続的な飢餓により寿命が延び、老化に関連して起こる異常の発生率が下がる可能性がある。本城咲季子(京都大学)たちは、この断続的な飢餓の影響にかかわる分子機構の研究によって、線虫(Caenorhabditis elegans)の寿命を延ばす飢餓方式をはっきりさせ、低分子量GTPアーゼRHEB-1が寿命制御に2通りの機能をもつことを明らかにした。RHEB-1は、断続的飢餓による寿命延長に必要だが、RHEB-1を阻害すると、カロリー制限と似た影響が現れる。断続的な飢餓におけるRHEB-1の作用は、少なくとも部分的には、インスリン/インスリン増殖因子様シグナル伝達系のエフェクターDAF-16を介して働く。今回の知見は、有害な副作用なしでの健康状態改善を目指す、食餌制限と似た方法の開発に役立つ可能性がある。 2009年2月5日号の Nature ハイライト 工学:印刷されたトランジスター 材料:伸縮可能なグラフェン膜 生理:構造を解いて謎を解明 宇宙:初期宇宙に生じた銀河のバルジ形成 気候:大西洋を巡る暖かい流れと冷たい流れ 古環境:長い長い話 進化:最古の後生動物 生理:絶食で長生きする 目次へ戻る