Nature ハイライト 生理:構造を解いて謎を解明 2009年2月5日 Nature 457, 7230 誤って折りたたまれたタンパク質が蓄積すると、小胞体ストレス応答が活性化される。膜貫通タンパク質であるIre1はこの経路で中心的な役割をもつタンパク質の1つで、キナーゼおよびエンドリボヌクレアーゼとして働く。Ire1がHAC1 mRNAのイントロンを切り取ると転写因子Hac1が翻訳され、これが標的遺伝子を活性化する。KorennykhたちはIre1キナーゼの結晶構造を解析し、このキナーゼが自発的に集合して桿状のオリゴマーを形成することを明らかにした。それによって、キナーゼドメインがトランスリン酸化に適した配置をとり、RNアーゼドメインが配列されてmRNA基質が結合するための相互作用部位ができる。一方Aragónたちは、活性化されたIre1分子が点状に集まって、小胞体膜上に高次のオリゴマーを含む分散したフォーカスができることを明らかにした。HAC1 mRNAは、3´非翻訳領域にある塩基配列によってこれらのフォーカスへと引き寄せられ、そこでプロセシングを受ける。HAC1 mRNAはこうしてプロセシングのための場所へと運ばれ、小胞体ストレス応答が開始された時にだけまちがいなく翻訳される。 2009年2月5日号の Nature ハイライト 工学:印刷されたトランジスター 材料:伸縮可能なグラフェン膜 生理:構造を解いて謎を解明 宇宙:初期宇宙に生じた銀河のバルジ形成 気候:大西洋を巡る暖かい流れと冷たい流れ 古環境:長い長い話 進化:最古の後生動物 生理:絶食で長生きする 目次へ戻る