Nature ハイライト 化学:ホウ素の新しい形態 2009年2月12日 Nature 457, 7231 ホウ素は、化学的に複雑なおもしろい元素である。この複雑性は、フラストレーションに起因する。ホウ素は、周期表上で金属と絶縁体の間に位置しており、価電子が3個しかなく原理的には金属性を示しやすいと思われるが、これらの価電子は十分局在化しているため、絶縁状態が現れる。この微妙なバランスにある電子状態は、圧力や温度、不純物によって容易に変わるため、ホウ素の構造と特性を確定することは困難である。今回Oganovたちは、ホウ素の高圧下での挙動を調べ、これまで知られていなかった負に帯電した二十面体のB12クラスターと、正に帯電したB2対からなるイオン相を明らかにした。この新しい相のイオン性は、B12クラスターとB2対の電子特性が異なり、そのため、それらの間で電荷移動が起こることに起因するもので、相の多くの特性に強い影響を及ぼす。 2009年2月12日号の Nature ハイライト 細胞:壁のない生活 遺伝:エンハンサーの地図を作る 化学:ホウ素の新しい形態 ナノテクノロジー:微細なプリント 遺伝:霊長類ゲノムにおける爆発的重複 医学:C型肝炎動物モデルへの手がかり 細胞:血液細胞系の発生 がん:前立腺がんのマーカーを発見 細胞:ヒトのリボスイッチが初めて見つかった? 目次へ戻る