Nature ハイライト

Cover Story:みんなのダーウィン DARWIN 200特集:人間性と進化

Nature 457, 7231

ダーウィン生誕200年を記念する3回の特集の第2弾として、今週号では「みんなの」ダーウィン、つまり。人間の条件とのかかわりからみたこの偉人の遺産をテーマとしている。ヒトやヒトの親戚筋にあたる動物たちのゲノムの塩基配列が解読され、ヒトの進化や生物界の統一性に関する我々の知識が広がってきている。ゲノミクスにより、選択を被った多数の塩基配列が明らかにされたが、これらは一部で期待されたような、ヒトの進化の歴史を簡単に読み出せるものとはならなかった。E C Haydenは遺伝学研究者たちにインタビューし、人間の文化の影響を考慮しなくては、こうした配列の解釈が不可能であることを彼らが認めつつあると述べている(p.776)。D Brownの1991年の著作『Human Universals』は、人間社会が共通にもつもの、例えば言語、社会的地位システムや社会的禁忌のような分野を中心に扱っている。進化心理学の研究者はこうしたテーマで活気づいており、議論抜きではすまされない分野では、彼らがヒトの普遍的特性と個人的特性、および社会的独自性の間のバランスを解明しようとする試みから、いくつかのおもしろいアイデアが生まれていることを、D Jonesが報告している(p.780)。「触れてはいけない科学」を扱っているCommentaryでは、さらに議論が沸騰しており、S Roseと、S Ceci、W Williamsが二手に分かれ、人種や性別の遺伝学の研究は、制限なしに行ってもよいのかどうかを論じている(pp.786, 788)。歴史関連では、Books & ArtsでW F Bynumが、『Darwin’s Sacred Cause』を批評している。この本は、ダーウィンについてよく知られている2つの事実、残虐さに直面した際に彼が感じた生理的不快感と奴隷制度嫌悪に基づいて、A DesmondとJ Mooreがダーウィンの一生と業績を読み直したものだ(p.792)。もっと肩の凝らない記事としては、ダーウィン説の信奉者の詩について(p.794、今週のNature Podcastでも取り上げられている)や、我々が今年、ダーウィンが著した本の1つである『鳩の種の起源』の出版200年を祝わなくてすんだわけについて(p.790)がある。また今週号のInsight特集には、本誌編集部が特別に依頼した、進化に関する6つの概説が掲載されている(pp.807-848)。Naturejobsでは、生物人類学研究者のポストを紹介している(p.922)。今週号のダーウィン関連記事の一覧は、Editorialをご覧いただきたい(p.763)。これらはウェブ限定の記事と併せて、www.nature.com/darwinでも閲覧できる。

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