Nature ハイライト 環境:島の社会の運命を分けた森林減少 2004年9月23日 Nature 431, 7007 太平洋に浮かぶ島々のなかには住人社会が衰亡してしまったところがあるが、その原因の一部は森林減少にあるとみられる。その最もよく知られた例はおそらくイースター島だろう。その他の島では多雨林域が維持され、社会は生き残った。両者の運命を分けたのはどんな違いなのだろう。この問いに答えようとB RoletとJ Diamondは、西はヤップ島から東はイースター島まで、北はハワイ諸島から南はニュージーランドまで、太平洋の69の島々の計81カ所について、地理上および環境上の変数値の統計解析を行った。島が大きく、標高が高く、雨が多く、赤道に近く、また火山灰やアジアから風で運ばれてくる塵の通り道にある場合に、島の森林が維持される傾向がより強かった。赤道から(また他の島々から)の距離がひらくと、森林のもろさは高まる。今回行われた森林減少の詳しい検証は、環境劣化と連動して起こったと考えられる他のヒト社会(アメリカ合衆国南西部のアナサジ文化や中央アメリカのマヤ文明など)の衰亡を調べるうえで役に立つかもしれない。 2004年9月23日号の Nature ハイライト 宇宙:火星の海から抜けた炭酸塩 環境:島の社会の運命を分けた森林減少 環境:ツンドラの炭素貯蔵は満タン 物理:光で壊す 生態:絶滅への道筋を描き出す 植物科学:モルヒネを作らないケシ 医学:炎症が火種となる癌 目次へ戻る