Nature ハイライト

宇宙:火星の海から抜けた炭酸塩

Nature 431, 7007

一連の証拠からすると、火星には海洋があったらしい。しかしこれには大きな問題がある。現在では消えてしまった海が、大量の炭酸塩堆積物を残したと思われるからだ。過去そして今も大気中に二酸化炭素を豊富に含む惑星では、特にそうなったはずだが、あるべき種類の炭酸塩の堆積物は存在しない。これでは、火星に水があったとする説から文字通り「気が抜ける」ことになる。 そこで今回A G Fairénたちは、火星に炭酸塩をほとんど残さなかった海があったとする説明を提案した。彼らによれば、現実的な二酸化炭素濃度の火星大気が、硫酸塩や鉄を含んだ海を覆って、弱酸性の海を形成し、そのためちょうどうまい具合に炭酸塩の沈殿が抑えられたらしい。

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