Nature ハイライト 海洋:脂質の不足に代用品で対処 2009年3月5日 Nature 458, 7234 プランクトンは、増殖したり、細胞を構成する脂質などの分子を作り出したりするための栄養素として、リンを必要とする。海洋にはリンが極端に乏しい海域があるが、光合成をする種類の植物プランクトンはこの状況に対処できるようだ。その理由が今回明らかになった。これらは、リンを含まない脂質分子を生産するのである。植物プランクトンが、リンの不足に対応して、細胞のリン含有量を減らすことは知られていた。今回、サルガッソー海で採取した含有リン量の少ない海水試料を用いた実験で、植物プランクトンが膜のリン脂質を硫黄と窒素を含む脂質で代用しており、従属栄養型の細菌では、そうした代用が行われていないことが明らかになった。これらの代用脂質を使う能力は、リンの乏しい環境での競争に有利に働いているのかもしれない。 2009年3月5日号の Nature ハイライト 宇宙:連星ブラックホール見つかる 材料:遷移金属イオン間の電荷移動 地球:バム地震の後で 海洋:脂質の不足に代用品で対処 細胞:抗生物質の標的にならない? 免疫:リンパ球の活性化 遺伝:遺伝子融合と前立腺がん 構造生物学:タンパク質の構造をライブで見る 目次へ戻る