Nature ハイライト

生態:競争と生物多様性

Nature 458, 7241

生態学における未解決の謎の1つは、生物種どうしは資源をめぐって互いに競争しているのにもかかわらず、なぜかくも多くの種が共存できるのか、というものだ。生物多様性の理論では概して、種どうしがランダムに相互作用すると仮定したり、種間の相互作用を無視したりしてきた。しかしながら近年の研究で、種間の相互作用は規制のないものではなく、高度に複雑な構造もしくは入れ子構造になっていることが示されている。Bastollaたちは、植物と動物の相利共生ネットワークに着目し、相利共生的な相互作用の「入れ子構造」が競争を最小化し、生物多様性を高めるように働いていることを明らかにした。入れ子構造をもつネットワークは生物や社会のさまざまな状況で生じると思われるので、この結果は生物学から銀行業務まで、幅広い分野に関係があると考えられる。

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