Nature ハイライト

医学:抗菌剤によるHIV/AIDSの予防

Nature 458, 7241

HIV-1の女性への伝播を防ぐ手段として、殺微生物剤を使った臨床試験は期待外れに終わった。しかし今回、HIV感染について、サル免疫不全ウイルス(SIV)のアカゲザル膣感染モデルを使った研究から、予防薬にはまだ追及する価値があると思わせる結果が得られた。広く使われている抗微生物薬であるモノラウリン酸グリセロール(GML)が、ウイルス暴露を繰り返し行った後でもSIV感染を抑制することが明らかになったのである。だが、その作用機序は意外なものだった。ウイルスに対する宿主の炎症応答は、予防の助けとなるのではなく、ウイルスの標的であるCD4+ T細胞を集合させることで感染を助長しているとわかった。GMLの予防効果は、ウイルスに対する直接の効果ではなく、この宿主応答の阻害から生じているらしい。これは、粘膜細胞での細胞のシグナル伝達と宿主の自然免疫応答が、HIV感染予防を目的とした薬やワクチンの標的となる可能性を示しており、これはHIVだけでなく、似たような感染手段を使っている病原体についても同じだといえよう。

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