Nature ハイライト 化学:大きなリュードベリ分子 2009年4月23日 Nature 458, 7241 リュードベリ原子では、1個以上の電子が非常に大きい主量子数をもつ軌道に励起され、原子の電子エンベロープが原子核のはるかかなたまで広がっている。1934年にE フェルミによって導入された考えに基づいて、基底状態にあるもう1つの原子によってそのような電子が散乱されると、引力相互作用が生じる可能性があることが、最近の理論研究で予測された。これによって、核間距離が数千ボーア半径に達する巨大分子ができると考えられる。そのような超長距離「リュードベリ分子」の分光学的特性が、今回報告された。このリュードベリ分子は極低温のルビジウム二量体であり、そのスペクトルはモデルによる予測とよく一致する。今回の成果から、いわゆる「三葉虫分子」のような風変わりな分子種が、近い将来に実現する見込みが高まってきた。 2009年4月23日号の Nature ハイライト 医学:デング熱ウイルスが必要とする宿主因子 発生:Notch経路を個別に調べる 宇宙:小惑星はなぜ赤い 工学:誘電力を感じる 化学:大きなリュードベリ分子 環境:中国の炭素収支 生態:競争と生物多様性 医学:抗菌剤によるHIV/AIDSの予防 生理:嚢胞性繊維症での肺疾患の起こりやすくする変更遺伝子 目次へ戻る