Nature ハイライト

化学:大きなリュードベリ分子

Nature 458, 7241

リュードベリ原子では、1個以上の電子が非常に大きい主量子数をもつ軌道に励起され、原子の電子エンベロープが原子核のはるかかなたまで広がっている。1934年にE フェルミによって導入された考えに基づいて、基底状態にあるもう1つの原子によってそのような電子が散乱されると、引力相互作用が生じる可能性があることが、最近の理論研究で予測された。これによって、核間距離が数千ボーア半径に達する巨大分子ができると考えられる。そのような超長距離「リュードベリ分子」の分光学的特性が、今回報告された。このリュードベリ分子は極低温のルビジウム二量体であり、そのスペクトルはモデルによる予測とよく一致する。今回の成果から、いわゆる「三葉虫分子」のような風変わりな分子種が、近い将来に実現する見込みが高まってきた。

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