Nature ハイライト

宇宙:惑星形成:塵からできた結晶

Nature 459, 7244

原始惑星系円盤は、太陽系の前駆天体であると考えられており、星間ガスと星間塵の雲で、主に非晶質のケイ酸塩粒子からなる。にもかかわらず、初期太陽系由来の彗星や隕石中に見つかる粒子や、若い恒星のスペクトルから存在が示される粒子の多くは、1,000 K以上の温度でアニールや凝縮を経たにちがいない大きな結晶質粒子である。だが、これらの粒子は、このような加熱を一度も受けたことがない物質によって取り囲まれている。この一見矛盾した現象については、何度も理論化が試みられてきた。Ábrahámたちは、若い太陽類似星であるおおかみ座EX星(EX Lupi)のアウトバースト(突然の増光)時のスペクトル中の中赤外波長域の構造を報告し、これを結晶質フォルステライトに帰属している。これらの構造は、EX Lupiの最近起こったアウトバースト以前にはみられなかったものだ。つまりこれは、天体での結晶形成を直接的に観測した初めての例である可能性がある。恒星のアウトバーストからの熱によるアニールは、原始惑星系円盤について今まで考えられたことのない結晶化過程である。一方、D Vinkovićは、結晶が生じる可能性のある別の新しい機構を提案している。原始惑星系円盤から生じる赤外光は理論上、1 µmよりも大きい粒子を円盤内側から打ち上げることが可能で、このような粒子は円盤上を滑っていく間に恒星の輻射圧によって外向きに押し出される。粒子は、一定の粒子サイズと固体密度を支えるのに十分な赤外線輻射圧を作り出すことのできない低温の円盤領域に至ると再び円盤内に戻るというのだ。

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