Nature ハイライト 環境:永久凍土からの炭素放出 2009年5月28日 Nature 459, 7246 永久凍土の生態系には大気中のほぼ2倍の炭素が含まれており、永久凍土の土壌深くに蓄積されている大量の炭素は、温暖化しつつある地球に放出されれば気候変動に対する正のフィードバックとなる可能性がある。永久凍土の炭素プールの大部分は、何千年もかけて蓄積された「古い」炭素だが、永久凍土の土壌からの炭素放出速度はよくわかっていない。Schuurたちは、アラスカの長期観測地点で得た、正味の生態系炭素交換量と生態系呼吸の放射性炭素年代に関するデータを報告している。この観測地点では、1985年以来、永久凍土の温度が直接測定されており、1985年以降の温暖化が確認されている。この研究により、永久凍土の融解に伴って土壌炭素の大規模な喪失が起こっていることが明らかになった。その量は、数十年の間に、植物の生長が促進されて増えた炭素吸収量よりはるかに大きくなり、温暖化した地球では、永久凍土が生物圏の大きな炭素供給源となりうるほどの喪失速度であることがわかった。 2009年5月28日号の Nature ハイライト 医学:自閉症にかかわる遺伝子変異 光学:強力な光子 脳:頭の中の地図 宇宙:鉄のL輝線で探るブラックホール 宇宙:系外惑星の位相を見る 環境:永久凍土からの炭素放出 進化:文化に対する遺伝的制約 生理:新しい化学受容器ファミリー 細胞:細菌が乗っ取る腸上皮 目次へ戻る