Nature ハイライト

植物:多年生植物の開花の調節

Nature 459, 7245

開花の調節に関する研究の大半は、典型的な「実験用モデル植物」であるシロイヌナズナのような一年生植物で行われてきた。一年生植物が花を咲かせるのは、生涯に一度切りである。多年生植物で開花がどのように調節されているのかという、さらに込み入っていそうな問題に関する研究は、一年生植物に比べてはるかに少ない。多年生植物は、何年も生き続けて開花と栄養成長のサイクルを繰り返す。今回、シロイヌナズナに近縁の多年生植物であるアラビス・アルピナ(Arabis alpina)の開花に関する研究で、多年生植物がもつ3つの重要な形質を調節するPEP1perpetual flowering 1)という遺伝子が同定された。この遺伝子は、開花の持続期間の制限、一部の枝の開花の完全な抑止、および開花の春季への限定に関与している。PEP1は、シロイヌナズナの開花抑制因子であるFLCのオーソログであり、FLCはクロマチンの修飾により、シロイヌナズナが低温におかれるまで開花を抑制する。PEP1は、シロイヌナズナでは認められない複数の機能をアラビス・アルピナで担っており、この2つの植物はFLCおよびPEP1遺伝子座のヒストン修飾の変化を通じて進化したと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度