Nature ハイライト 植物:多年生植物の開花の調節 2009年5月21日 Nature 459, 7245 開花の調節に関する研究の大半は、典型的な「実験用モデル植物」であるシロイヌナズナのような一年生植物で行われてきた。一年生植物が花を咲かせるのは、生涯に一度切りである。多年生植物で開花がどのように調節されているのかという、さらに込み入っていそうな問題に関する研究は、一年生植物に比べてはるかに少ない。多年生植物は、何年も生き続けて開花と栄養成長のサイクルを繰り返す。今回、シロイヌナズナに近縁の多年生植物であるアラビス・アルピナ(Arabis alpina)の開花に関する研究で、多年生植物がもつ3つの重要な形質を調節するPEP1(perpetual flowering 1)という遺伝子が同定された。この遺伝子は、開花の持続期間の制限、一部の枝の開花の完全な抑止、および開花の春季への限定に関与している。PEP1は、シロイヌナズナの開花抑制因子であるFLCのオーソログであり、FLCはクロマチンの修飾により、シロイヌナズナが低温におかれるまで開花を抑制する。PEP1は、シロイヌナズナでは認められない複数の機能をアラビス・アルピナで担っており、この2つの植物はFLCおよびPEP1遺伝子座のヒストン修飾の変化を通じて進化したと考えられる。 2009年5月21日号の Nature ハイライト 植物:ターゲットは植物遺伝子 宇宙:赤色巨星の脈を探る 宇宙:火星の水は冷えても凍らない ナノテクノロジー:複雑になったナノ材料 地球:「爆撃」に耐えた冥王代地球上の生命 生化学:隣近所とのあつれき 植物:多年生植物の開花の調節 生化学:Na+, K+-ATPアーゼの構造 目次へ戻る