Nature ハイライト

脳:ドーパミンニューロンの複雑さ

Nature 459, 7248

脳の底部にあるドーパミンニューロン(ドーパミン作動性ニューロン)は正常な運動に不可欠で、これらが失われるとパーキンソン病などの病態につながる。だが、ドーパミンニューロンの活動は、報酬を伴う出来事とは関連付けられているものの、体の運動とは関連付けられていない。最近のモデルでは、ドーパミンニューロンは1つの均質な機能集団として、報酬関連信号を介して運動学習を誘導すると考えられている。今回、快あるいは不快な刺激に対するパブロフ条件付けのなされたサルを使った研究で、実際のドーパミンニューロン集団は、このモデルで想定されているよりも不均質であることが示された。異なるドーパミンニューロン集団が、脳内のわずかに異なる部位に存在し、快-不快刺激に対しても、快あるいは不快な事象と関連付けられた予告刺激に対しても、特異的な応答を示すことがわかった。このことから、ドーパミンニューロンは、単なる報酬というより、もっと微妙な信号を担っており、より複雑に学習制御に関与していると考えられる。

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