Nature ハイライト 脳:ドーパミンニューロンの複雑さ 2009年6月11日 Nature 459, 7248 脳の底部にあるドーパミンニューロン(ドーパミン作動性ニューロン)は正常な運動に不可欠で、これらが失われるとパーキンソン病などの病態につながる。だが、ドーパミンニューロンの活動は、報酬を伴う出来事とは関連付けられているものの、体の運動とは関連付けられていない。最近のモデルでは、ドーパミンニューロンは1つの均質な機能集団として、報酬関連信号を介して運動学習を誘導すると考えられている。今回、快あるいは不快な刺激に対するパブロフ条件付けのなされたサルを使った研究で、実際のドーパミンニューロン集団は、このモデルで想定されているよりも不均質であることが示された。異なるドーパミンニューロン集団が、脳内のわずかに異なる部位に存在し、快-不快刺激に対しても、快あるいは不快な事象と関連付けられた予告刺激に対しても、特異的な応答を示すことがわかった。このことから、ドーパミンニューロンは、単なる報酬というより、もっと微妙な信号を担っており、より複雑に学習制御に関与していると考えられる。 2009年6月11日号の Nature ハイライト 免疫:ヤツメウナギにもある2つの免疫系 細胞:サーチュインと長寿の関係 宇宙:新たな光で見る地球 宇宙:惑星が地球に衝突する可能性 気候:気候-炭素応答の新しい尺度 地球:台風で起こるゆっくり地震 脳:ドーパミンニューロンの複雑さ 細胞:ヒストンと白血病の関係 細胞:分裂のとき 目次へ戻る