Nature ハイライト 地球:台風で起こるゆっくり地震 2009年6月11日 Nature 459, 7248 大地震で発生した遠地地震波は、遠く離れたところでもほかの地震の引き金となることが知られているが、大気圧の季節変動は微小地震活動を調節していることが明らかになった。C Liuたちは今回、気象条件が引き金となった地震という、意外な地質現象について報告している。台湾東部でボアホール型ひずみ計で得られたデータから、継続時間が分から秒ではなく、時間から分にわたる地震現象である「ゆっくり地震」が、台風が引き金となって起きることがあるのがわかった。数値モデルでは、台風に伴って気圧が低下すると、高い応力がかかっていて破壊条件に近い断層がごくわずか緩むことが示唆されている。台湾東部は圧縮変形が極めて大きいが、大地震は少ない。この地域では、応力のかかった地域が、ゆっくり地震が繰り返し起きることによって分割され、長く連続した地震破壊が必要な大地震の発生が抑えられている可能性がある。 2009年6月11日号の Nature ハイライト 免疫:ヤツメウナギにもある2つの免疫系 細胞:サーチュインと長寿の関係 宇宙:新たな光で見る地球 宇宙:惑星が地球に衝突する可能性 気候:気候-炭素応答の新しい尺度 地球:台風で起こるゆっくり地震 脳:ドーパミンニューロンの複雑さ 細胞:ヒストンと白血病の関係 細胞:分裂のとき 目次へ戻る