Nature ハイライト 宇宙:小惑星帯に見られる多様性 2009年7月16日 Nature 460, 7253 主小惑星帯に存在する天体の大部分は、ほぼ火星と木星の軌道の間にあり、そこで原始円盤から形成されたと考えられている。だが、この主小惑星帯には、氷と岩石の混ざった始原的なものから火成岩まで、非常に多様な天体が存在する。一般的に、この多様性は、原始惑星円盤での当初の凝縮過程に関係する化学変化によるものだとされているが、一連の新たなシミュレーションで、これに代わる説明が得られた。ニースにあるコートダジュール天文台で主に開発されたこの「ニース」モデルは、巨大惑星の軌道に激しい力学的進化があったとするもので、この進化が、主小惑星帯の外側の領域に複数の始原的な太陽系外縁天体が入り込むのにつながることが示されている。このような、後になってからやってきた、有機物に富む天体は、典型的な主小惑星帯の小惑星より衝突進化の影響を受けやすく、多くの微隕石のもとになったと考えられる。これにより、微隕石の組成が巨視的な隕石に比べて「始原的」であるという、もう1つの謎が説明される。 2009年7月16日号の Nature ハイライト 霊長類学:霊長類考古学という新分野 宇宙:小惑星帯に見られる多様性 海洋:北極海に氷が現れた時期 気候:氷期の気候の調整機構 生態:生物多様性への道 遺伝:共通するマラリア耐性 生理:ラパマイシンで長生き? 発生:アザラシ肢症を考え直す 目次へ戻る