Nature ハイライト 生理:ラパマイシンで長生き? 2009年7月16日 Nature 460, 7253 抗腫瘍薬ラパマイシンは、タンパク質の翻訳、細胞増殖、およびオートファジーの調節に関与するPI3K-AKT-mTORカスケードに含まれるキナーゼTORを標的とする。酵母、線虫、ハエでは、TORの機能低下が寿命を延長することが知られている。今回3つの研究機関による検証実験によって、TORシグナル伝達経路を相当度阻害する量のラパマイシンを雌雄のマウスに与えると、寿命の中央値および最大値が14%まで延長されることが実証された。この寿命延長効果は、生後270日目からラパマイシンを与えられたマウスでも、生後600日目という加齢期になってから与えられたマウスでも認められた。この知見は、哺乳類の加齢制御や老齢期の発病にTOR経路が極めて重要であることを示している。 2009年7月16日号の Nature ハイライト 霊長類学:霊長類考古学という新分野 宇宙:小惑星帯に見られる多様性 海洋:北極海に氷が現れた時期 気候:氷期の気候の調整機構 生態:生物多様性への道 遺伝:共通するマラリア耐性 生理:ラパマイシンで長生き? 発生:アザラシ肢症を考え直す 目次へ戻る