Nature ハイライト 物理:ヒッグス・ボソンは発見されたか? 2004年3月11日 Nature 428, 6979 ヒッグス・ボソンは、物質を構成するすべての粒子に質量を与える素粒子であると考えられている。ただ誰もまだヒッグス・ボソンを見たことがない。これは、素粒子の「標準模型」の中で唯一未発見の粒子である。ヒッグス・ボソンを搾り出して見つけるために、LEP(大型電子・陽電子衝突型加速器)のような装置で、微小な粒子同士を衝突させる実験が行われてきた。また、ヒッグス・ボソンを間接的に探る研究もなされてきた。ある粒子はヒッグス・ボソンを一瞬だけ放出し、その過程で軽くなる。このような粒子の質量を測ることで、ヒッグス・ボソン自体の質量に対する手がかりが得られる。今週号でP Rentonはこれまでに行われたヒッグス・ボソン探索についてまとめながら、この捉え難い粒子の正確な質量の特定を阻んできた、幾つかの対立する結果を指摘している。しかしRentonは、CERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)で2007年に稼動を始めるLHC(大型ハドロン衝突型加速器)が、ヒッグス・ボソンが存在するか否かの謎を解くだろうと予想している。 2004年3月11日号の Nature ハイライト 生態:原生林に忍び寄る地球環境変化 医学:マウス卵巣が隠し持つ「予備兵力」 物理:ヒッグス・ボソンは発見されたか? 医学:期待の持てる痘瘡(天然痘)新型ワクチン 宇宙:磁極が傾斜するわけ 進化:長生きおばあちゃんのひみつ 目次へ戻る