Nature ハイライト 細胞:発がん性をもつ前立腺細胞 2009年9月24日 Nature 461, 7263 マウス前立腺で、CARN細胞とよばれる稀少な管腔幹細胞集団が見つかった。CARN細胞は、アンドロゲン除去によって引き起こされる前立腺組織再生過程で、管腔細胞と基底細胞の両方を生じる。これらの細胞は、自己複製能を備えているだけでなく発がん性形質転換の標的でもあり、CARN細胞で腫瘍抑制遺伝子Ptenを欠失させると、再生中の前立腺で腫瘍の発生が引き起こされる。これらの細胞はアンドロゲンがない条件下で生存する能力をもつことから、アンドロゲン非依存性がんがこの細胞集団から生じる可能性が浮上してきた。また、CARN細胞を足がかりに、侵襲性前立腺がんの悪性特性に寄与する細胞を標的とする治療への道が開けるかもしれない。 2009年9月24日号の Nature ハイライト 細胞:発がん性をもつ前立腺細胞 宇宙:恒星は運動量を失う 気候:完新世の炭素循環 気候:変わりつつあるエルニーニョ 進化:進化は逆行しない 細胞:細胞も十人十色 医学:プリオン病の伝播 発生:単純なやり方で作られるモルフォゲン勾配 発生:活性酸素の有用な働き 目次へ戻る