Nature ハイライト 進化:進化は逆行しない 2009年9月24日 Nature 461, 7263 機能に対する選択圧を逆転させるだけで、進化が逆行して祖先の構造に戻りうるのかどうかは、長年にわたって議論されてきた問題だが、形の変化の歴史だけに基づいてこの問題を解決するのは難しい。Bridghamたちは、グルココルチコイド受容体という調節性タンパク質の1つの祖先型を物理的に再構築し、その機能の進化(どのようなホルモンに結合するか)に及ぼす構造的な制約を原子レベルで分析した。祖先型タンパク質には不可欠なアミノ酸が、もっと新しい型のタンパク質では中立なものになっており、そうなるとこれは、遺伝的浮動による消失の対象になることがわかった。これが失われると、それまでに起こった置換を元に戻すのに必要な材料そのものが失われることになる。つまり、これらはかつてもっていた逆方向への「適応性」を、もはやもたなくなる。進化の観点からすれば、引き返す道はないのだ。 2009年9月24日号の Nature ハイライト 細胞:発がん性をもつ前立腺細胞 宇宙:恒星は運動量を失う 気候:完新世の炭素循環 気候:変わりつつあるエルニーニョ 進化:進化は逆行しない 細胞:細胞も十人十色 医学:プリオン病の伝播 発生:単純なやり方で作られるモルフォゲン勾配 発生:活性酸素の有用な働き 目次へ戻る