Nature ハイライト 発生:活性酸素の有用な働き 2009年9月24日 Nature 461, 7263 活性酸素種(ROS)については、主にDNA損傷、タンパク質や脂質の酸化やアポトーシスでの有害な影響が調べられてきたが、組織によってはROSにも有益な効果があることがしだいに認められつつある。哺乳類の造血系では、造血幹細胞のROS濃度は低いが、骨髄系共通前駆細胞(CMP)では、ROSレベルが意外にもかなり上昇している。E Owusu-AnsahとU Banerjeeは、ショウジョウバエ(Drosophila)の2種類の前駆細胞で、ROSレベルの差が機能にとって重要であるらしいことを見いだした。彼らの研究は、前駆細胞集団で発生的に制御されて中程度の濃度となったROSは、前駆細胞を刺激して分化しやすい状態にすること、またこれにより、造血系細胞運命の調節においてROSがシグナル伝達因子としての役割を果たせるようになることを明らかにしている。 2009年9月24日号の Nature ハイライト 細胞:発がん性をもつ前立腺細胞 宇宙:恒星は運動量を失う 気候:完新世の炭素循環 気候:変わりつつあるエルニーニョ 進化:進化は逆行しない 細胞:細胞も十人十色 医学:プリオン病の伝播 発生:単純なやり方で作られるモルフォゲン勾配 発生:活性酸素の有用な働き 目次へ戻る