Nature ハイライト 気候:完新世の炭素循環 2009年9月24日 Nature 461, 7263 南極EPICAドームCの氷床アイスコアに閉じ込められていた空気の測定から得られた新しい大気δ13Cの記録と、単純な炭素モデルを組み合わせて、約1万1,000年前に始まった最新の間氷期である完新世における炭素循環の高分解能の描像が得られた。これまでの再構築では、大気CO2濃度のかなりの変化が明らかになっているが、それらの変化をもたらした過程はわかっていない。新しいデータは、完新世初期に大気CO2が5 ppmv減少したことを示唆しているが、これは、最終氷期末期に陸上生物圏によって炭素が約290ギガトン吸収され、陸上での吸収に対する炭酸塩補償に応じて海洋から炭素が放出されたためである。完新世後期に大気CO2が20 ppmv増加したことは、それ以前の陸上生物圏による吸収に対する炭酸塩補償とサンゴ礁の形成によってほぼ説明でき、陸上生物圏の炭素蓄積量のわずかな減少の寄与は小さい。 2009年9月24日号の Nature ハイライト 細胞:発がん性をもつ前立腺細胞 宇宙:恒星は運動量を失う 気候:完新世の炭素循環 気候:変わりつつあるエルニーニョ 進化:進化は逆行しない 細胞:細胞も十人十色 医学:プリオン病の伝播 発生:単純なやり方で作られるモルフォゲン勾配 発生:活性酸素の有用な働き 目次へ戻る