Nature ハイライト 医学:新しい抗結核治療法 2009年10月1日 Nature 461, 7264 プロテアソームは、余分な、あるいは損傷を受けたタンパク質を分解するタンパク質複合体で、その構造は古細菌から真核生物まで保存されている。プロテアソーム阻害剤はがんの治療に使われており、プラスモジウムやトリパノソーマのような病原性真核生物感染の治療にも使えると考えられている。しかしながら、プロテアソーム阻害剤が本来的にもつ毒性により、治療可能な感染症への使用は妨げられている。マイコバクテリウムは、プロテアソームをもつことが知られている唯一の細菌性病原体である。その一種である結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のプロテアソームを選択的に阻害する新種の小型分子が発見され、抗プロテアソーム薬が非常に選択性の高い結核治療薬になるのではないかと期待されている。新しい阻害剤はオキサチアゾール-2-オン化合物で、結核菌のプロテアソームに不可逆的に結合するが、ヒトのプロテアソームにはほとんど影響しない。 2009年10月1日号の Nature ハイライト 気候:雲を解明するには 細胞:Wnt阻害剤の標的 医学:新しい抗結核治療法 宇宙:暗黒物質を照らす光 化学:化学反応をX線で調べる 地球:遠地地震が断層に与える影響 進化:羽毛のあるトロオドン類 細胞:ヒトiPS細胞をもっと簡単に作る 細胞:FasLの非アポトーシス作用 目次へ戻る