Nature ハイライト 細胞:Wnt阻害剤の標的 2009年10月1日 Nature 461, 7264 Wnt経路は胚発生などの生細胞での多くの過程に関与するシグナル伝達系で、この経路の調節異常はさまざまながんに関連するとされており、そのため、抗がん療法の格好の標的といえる。しかし、Notch経路やHedgehog経路の阻害剤が臨床試験の段階に達している一方で、Wnt阻害剤については「創薬につながる」標的は見つけにくいとされていた。今回、化学遺伝学的手法を用いてWnt経路の低分子阻害剤が同定され、その直接の標的と作用機序が明らかにされた。このXAV939は、β-カテニン分解複合体の濃度制限因子であるアキシンの安定化を介して、Wntシグナル伝達を阻害する。この研究結果は、新しい薬剤標的を示唆するだけでなく、Wnt経路が生理学的にどのように調節されているかを探る手がかりも与えてくれる。 2009年10月1日号の Nature ハイライト 気候:雲を解明するには 細胞:Wnt阻害剤の標的 医学:新しい抗結核治療法 宇宙:暗黒物質を照らす光 化学:化学反応をX線で調べる 地球:遠地地震が断層に与える影響 進化:羽毛のあるトロオドン類 細胞:ヒトiPS細胞をもっと簡単に作る 細胞:FasLの非アポトーシス作用 目次へ戻る