Nature ハイライト

遺伝:複合疾患の遺伝学

Nature 461, 7265

全ゲノム関連解析(GWAS)により、ヒトの複合疾患に関連する何百もの遺伝的変異が同定されてきたが、その多くは発症リスクをわずかしか増加させない。疾患のような量的形質にかかわる遺伝要因の強さの指標である遺伝率のかなりの構成成分が、どういうわけか検出されていないらしいのだ。この「見つからない遺伝率」を説明するものとして、作用の小さい多数の未発見変異、現在の技術では検出されない希少な構造的またはエピジェネティックな変異、検出が困難な遺伝子間および遺伝子–環境間の相互作用などが考えられている。ReviewではT Manolioたちが、これらをはじめとする、可能と思われる説明を最もよく判定できそうな研究戦略を検証している(p.747)。またNews Featureでは、GWASの結果から生物学的意味を汲み取ることの困難さをよく示している3つの「ヒット」の話を、K R Chiが紹介している(p.712)。

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