Nature ハイライト

視覚:色覚異常の遺伝子治療

Nature 461, 7265

視覚などの神経機能の発達には決定的に重要な時期があり、それは青年期に入る前に終了すると広く考えられている。そのため、例えば先天性視覚障害をもつ成人の遺伝子治療は不可能だと思われることが多い。しかし、二色型色覚をもち、赤緑色覚がヒトとは異なるリスザル成獣を用いた実験で、遺伝子治療によって網膜細胞の一部に第三の光色素(ヒトオプシン)を導入できることがわかった。導入の結果、リスザルは新しい次元の色覚をもつようになった。この成果は、ヒトに広くみられる先天性視覚障害の治療法につながる可能性がある(現在、臨床試験中)だけでなく、視覚処理を行う神経に著しい可塑性があることを実証しており、三色型色覚の進化の道筋も示している。

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