Nature ハイライト 脳:ヒト脳への進化 2010年3月25日 Nature 464, 7288 ヒトの大脳皮質は、ほかの哺乳類に比べて大きくかつ複雑で、それがヒトの認知機能の基盤となっている。生産される神経細胞の数が大幅に増えたのは、どのような発生上の過程によるものなのだろうか。哺乳類脳の脳室下帯(SVZ)で生産された神経前駆細胞は、移動して脳の上部に層を成すように集合する。ヒトでは、この領域が著しく拡大して外側脳室下帯(OSVZ)となり、皮質全体のサイズや複雑さに寄与している可能性がある。発生中のヒト組織の生細胞画像化により、OSVZがSVZとよく似た性質をもち、Notchシグナル伝達に依存して増殖する多数の前駆細胞を含んでいることがわかった。非脳室性の前駆細胞集団の樹立が、ヒト脳の発達に向けての重要な進化ステップだったのかもしれない。 2010年3月25日号の Nature ハイライト 代謝:起源の古い酸素生成経路 生理:静脈からできる動脈 脳:ヒト脳への進化 材料:「鍵と鍵穴」型自己集合 遺伝:ヒドラのゲノム 気候:土壌からの二酸化炭素放出量の増加 発生:遺伝型と表現型の相関マップ 遺伝:ニワトリと卵と肉の問題 植物:容易になった半数体植物の作製 目次へ戻る