Nature ハイライト 遺伝:ヒドラのゲノム 2010年3月25日 Nature 464, 7288 ヒドラ(Hydra)は、1702年に初めてアントン・ファン・レーウェンフックによって英国王立協会に報告された動物である。以来何世紀にもわたって生物学者の研究の対象になり、現在では軸パターン形成や幹細胞生物学、再生の研究の重要なモデル動物となっている。その一種であるチクビヒドラ(Hydra magnipapillata)のゲノムが、ヒドラと安定した関係を保っているCurvibacter属の細菌1種のゲノムと共に解読され、ゲノムの半分以上が可動性遺伝因子で占められていることがわかった。ヒドラとほかの動物のゲノムの比較により、上皮、収縮組織、発生に応じて制御される転写因子、多能性にかかわる遺伝子、神経筋接合部の進化や、初期胚の胚軸を決める領域であるシュペーマン・マンゴールド・オーガナイザー(原腸胚形成体)の進化についても、解明の手がかりが得られるだろう。 2010年3月25日号の Nature ハイライト 代謝:起源の古い酸素生成経路 生理:静脈からできる動脈 脳:ヒト脳への進化 材料:「鍵と鍵穴」型自己集合 遺伝:ヒドラのゲノム 気候:土壌からの二酸化炭素放出量の増加 発生:遺伝型と表現型の相関マップ 遺伝:ニワトリと卵と肉の問題 植物:容易になった半数体植物の作製 目次へ戻る