Nature ハイライト 視覚:盲視の経路 2010年7月15日 Nature 466, 7304 一次視覚皮質(V1)は視覚にとって重要である。だが約40年前、V1に損傷をもつ患者でも、視覚刺激を受けた意識がないのにもかかわらず、刺激の方向を示したり、避けたりできることが見いだされた。この「盲視」は、外側膝状体核(LGN)からV1という通常の視覚経路をバイパスする視覚経路によるのだろうと考えられてきた。しかし、今回Schmidたちは、マカクザルの複数の視覚領野に不可逆的および可逆的障害を組み合わせて加え、行動テストと機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使って、LGN自体がこの「代替経路」の重要な連絡部位となっていることを明らかにしている。V1に損傷を受けた動物でLGNを不活性化すると、視覚検知もfMRIでの高次視覚野活動も消失した。これは、直接のLGN投射が盲視ばかりでなく、正常な視覚でも迅速な対象検知に有効な補助的経路になっている可能性を示している。 2010年7月15日号の Nature ハイライト 構造生物学:動いているリボソーム 医学:腸のウイルスメタゲノムの違い 宇宙:円盤を伴う大質量星 地球:ダイヤモンドの分布 環境:どこを保護区域にするか 医学:自閉症の遺伝学 視覚:盲視の経路 発生:左右軸の誘導 細胞:メチル化が寿命を延ばす 目次へ戻る