Nature ハイライト

細胞:メチル化が寿命を延ばす

Nature 466, 7304

Sir2ファミリーの遺伝子は、酵母や線虫(C. elegans)などの生物で、ヒストン脱アセチル化への作用を介して寿命に影響を与えることが知られている。そうすると、ほかのヒストン修飾も寿命に影響を与えるのだろうか。Greerたちは今回、ヒストンメチル化が線虫の寿命を調節していることを示している。保存されたクロマチンタンパク質複合体で、ヒストンH3のリジン4(H3K4)をトリメチル化することが知られているASH-2複合体の構成因子が欠損すると、どの因子が欠損した場合にも、線虫の寿命が延びることがわかった。逆に、H3K4デメチラーゼRBR-2は、正常な寿命に必要であり、これは、H3K4の過剰なトリメチル化が寿命を短縮するという考えと一致する。このような寿命の延長には、成体の完全な生殖細胞系列の存在と、成熟卵の持続的な産生が必要である。このことは、体細胞の寿命が生殖細胞系列のH3K4メチルトランスフェラーゼ/デメチラーゼ複合体によって調節されていることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度