Nature ハイライト 細胞:メチル化が寿命を延ばす 2010年7月15日 Nature 466, 7304 Sir2ファミリーの遺伝子は、酵母や線虫(C. elegans)などの生物で、ヒストン脱アセチル化への作用を介して寿命に影響を与えることが知られている。そうすると、ほかのヒストン修飾も寿命に影響を与えるのだろうか。Greerたちは今回、ヒストンメチル化が線虫の寿命を調節していることを示している。保存されたクロマチンタンパク質複合体で、ヒストンH3のリジン4(H3K4)をトリメチル化することが知られているASH-2複合体の構成因子が欠損すると、どの因子が欠損した場合にも、線虫の寿命が延びることがわかった。逆に、H3K4デメチラーゼRBR-2は、正常な寿命に必要であり、これは、H3K4の過剰なトリメチル化が寿命を短縮するという考えと一致する。このような寿命の延長には、成体の完全な生殖細胞系列の存在と、成熟卵の持続的な産生が必要である。このことは、体細胞の寿命が生殖細胞系列のH3K4メチルトランスフェラーゼ/デメチラーゼ複合体によって調節されていることを示唆している。 2010年7月15日号の Nature ハイライト 構造生物学:動いているリボソーム 医学:腸のウイルスメタゲノムの違い 宇宙:円盤を伴う大質量星 地球:ダイヤモンドの分布 環境:どこを保護区域にするか 医学:自閉症の遺伝学 視覚:盲視の経路 発生:左右軸の誘導 細胞:メチル化が寿命を延ばす 目次へ戻る