Nature ハイライト 材料:甲虫の外骨格をまねた新しいキラルネマチック材料 2010年11月18日 Nature 468, 7322 自然界では、外骨格を構成するキチンがキラル組織構造を作っているために虹色を呈する甲虫が存在する。M Maclachlanたちは、そうした甲虫の殻にみられる設計原理にヒントを得て、再生可能なセルローステンプレートを使ってらせん状の細孔が導入されたガラス薄膜を作製した。こうしたキラル構造によって、この材料は特定の波長の光を選択的に反射できるようになった。反射する波長は、合成時にシリカとセルロースの比を変えることによって、可視スペクトル全域にわたって調節可能である。この材料は自立でき、水を吸収すると直ちに無色化するが、乾燥させると色は復活する。この材料がもつ、キラリティー、メソ多孔性、フォトニック特性というこれまでにない組み合わせは、新しいコーティングやスマートウインドウ、センサーやディスプレイなど、さまざまな用途に役立つ可能性がある。 2010年11月18日号の Nature ハイライト 宇宙:WIMP発見の正念場 脳:ニューロン活動の順序を生み出す指令の連鎖 植物:植物ホルモンであるジャスモン酸の三者受容体 細胞:もう1つのDNA修復機構 物理:エンタングルメントの多ネットワーク化 材料:甲虫の外骨格をまねた新しいキラルネマチック材料 海洋:漁獲物に基づく漁業データでは予測を誤りかねない 進化:気候に決定される性 遺伝:ニューロンにおけるレトロ転位 目次へ戻る