Nature ハイライト 医学:自閉症に共通する病因? 2011年6月16日 Nature 474, 7351 自閉症は高い遺伝率を示すにもかかわらず、遺伝学的にはきわめて多様である。このことから、多くのさまざまな病状が自閉症スペクトル障害(ASD)として示されているのか、それとも非常に多くの遺伝学的要因が、患者のほとんどで変調を来していて、治療上の標的となりそうないくつかの生物学的経路に収束しているのか、という疑問が浮上している。トランスクリプトーム解析と遺伝子同時発現ネットワーク解析を用いた研究からは、収束モデルのほうが正しいことを示唆される。通常は前頭皮質および側頭皮質の区別の目安となる遺伝子発現パターンが、ASDの脳ではそれほどはっきりしておらず、特定のスプライシング異常と、自閉症に関連して同時発現される遺伝子モジュールが、以前に同定された遺伝的関連を示すシグナルに豊富に存在することが明らかになったのだ。このことは、転写とスプライシングにおける調節異常が、自閉症の神経機能障害の根底にある機序であることを示している。 2011年6月16日号の Nature ハイライト 遺伝:可能性がさらに広がるノックアウトマウス 構造生物学:糖タンパク質を作る酵素の構造 宇宙:初期宇宙のブラックホール成長を垣間見る 宇宙:ボイジャー1号のゆっくりした「さようなら」 物理:近藤格子でのフェルミオン出現を調べる 医学:自閉症に共通する病因? 医学:細菌が生きていることを示すvita-PAMP 細胞:ナンセンスコドンを「読める」ものにする 細胞:iPS細胞を使った新しい疾患モデル 目次へ戻る