Nature ハイライト

細胞:iPS細胞を使った新しい疾患モデル

Nature 474, 7351

先天性角化不全症は、血液、肺組織および表皮組織の維持不全を特徴とする疾患で、テロメア恒常性維持に必要な遺伝子の欠陥によって引き起こされる。短いテロメアは、マウスモデルで老化や細胞死のような応答を誘導し、それが組織幹細胞の機能を障害して、この疾患の徴候を引き起こすと考えられている。Batistaたちは、先天性角化不全症患者由来の誘導多能性幹(iPS)細胞を作出した。これまで、iPS細胞を基盤とした疾患モデルとして報告されたものは、細胞異常を出現させる前にiPS細胞を何らかの細胞種に終末分化させておく必要があった。しかし、今回のモデルでは、ヒト幹細胞疾患の多くの特徴が患者由来のiPS細胞で見られ、疾患の機構を研究する、あるいは治療法候補を見つけるために細胞分化を必要としないモデルが得られた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度