Nature ハイライト 遺伝:海のファージと宿主がとっている「共存共栄」方式 2011年6月30日 Nature 474, 7353 プロクロロコッカス属(Prochlorococcus)のシアノバクテリアは、1980年代後半まで知られていなかったが、現在では海洋に生息する光合成生物の大多数を占めることが認められている。プロクロロコッカス類の個体群動態には、これに感染するウイルス、つまりバクテリオファージが大きく影響すると考えられている。プロクロロコッカス類のゲノムには、ウイルス感染の感受性にかかわる「超可変性アイランド」領域があることが明らかになった。ウイルス感染に対する抵抗性をプロクロロコッカス類にもたらす変異のほとんどは、このゲノムアイランドに集中している。この特性が、宿主とウイルスの共存を促進しているのかもしれない。自然個体群は実際には小さい亜集団の寄せ集めであり、これら亜集団それぞれが異なった感受性領域をゲノムに持ち、したがって、共在しているウイルスに対する感受性も異なるからである。 2011年6月30日号の Nature ハイライト 進化:進化過程で見られた徐々に進む変化 遺伝:海のファージと宿主がとっている「共存共栄」方式 宇宙:赤方偏移の記録を更新した明るいクエーサー 宇宙:エンセラダスプリュームの起源は塩水である 光学:単一原子から放出されるスクイーズド光 進化:初期の節足動物が備えていた複雑な眼 再生医学:心臓の修復 生理:糖尿病と肥満治療の新たな標的候補 医学:マクロファージはどうやってHIV-1感染を避けるのか 目次へ戻る