Nature ハイライト 医学:マクロファージはどうやってHIV-1感染を避けるのか 2011年6月30日 Nature 474, 7353 HIV-1(ヒト免疫不全ウイルス1)は、樹状細胞(自然免疫と適応免疫の両方で機能する抗原提示組織細胞)では効率よく複製することができない。しかし、HIV-2や数種のサル免疫不全ウイルスなどの他の霊長類レンチウイルスは、Vpxと呼ばれるタンパク質を発現しており、このタンパク質によってウイルス複製の障害が克服されている。今回、2つの研究グループが、樹状細胞とマクロファージで、Vpxによって克服される複製抑制因子を突き止めたことを報告している。Vpxは、タンパク質であるSAMHD1の分解を引き起こすことがわかった。SAMHD1の変異は、免疫系の不適切な活性化を特徴とするアイカルディ・ゴーシェ症候群の原因である。SAMHD1のノックダウンによって樹状細胞でのHIV-1複製が増加することから、SAMHD1はこのウイルスに対する適切な免疫応答が生じるために重要と考えられる。 2011年6月30日号の Nature ハイライト 進化:進化過程で見られた徐々に進む変化 遺伝:海のファージと宿主がとっている「共存共栄」方式 宇宙:赤方偏移の記録を更新した明るいクエーサー 宇宙:エンセラダスプリュームの起源は塩水である 光学:単一原子から放出されるスクイーズド光 進化:初期の節足動物が備えていた複雑な眼 再生医学:心臓の修復 生理:糖尿病と肥満治療の新たな標的候補 医学:マクロファージはどうやってHIV-1感染を避けるのか 目次へ戻る