Nature ハイライト 再生医学:心臓の修復 2011年6月30日 Nature 474, 7353 心血管の再生医療において、細胞を用いる治療法の実現に一歩近づいた。あるペプチドで、成体の心臓にある前駆細胞集団を刺激すると、この集団が新しい心筋細胞の供給源として働くようになることが実証されたのである。心外膜に由来すると考えられている幹細胞または前駆細胞は、小型のアクチン単量体結合タンパク質であるチモシンβ4によって活性化される。チモシンβ4は、心臓損傷後の成体の心外膜由来前駆細胞に血管への分化可能性を回復させることが、これまでに示されている。心筋前駆細胞の供給源が心臓で見つかったことで、前駆細胞の最適な活性化や破壊された心筋の置換を促進する小型分子や因子類などの探索が盛んになりそうだ。 2011年6月30日号の Nature ハイライト 進化:進化過程で見られた徐々に進む変化 遺伝:海のファージと宿主がとっている「共存共栄」方式 宇宙:赤方偏移の記録を更新した明るいクエーサー 宇宙:エンセラダスプリュームの起源は塩水である 光学:単一原子から放出されるスクイーズド光 進化:初期の節足動物が備えていた複雑な眼 再生医学:心臓の修復 生理:糖尿病と肥満治療の新たな標的候補 医学:マクロファージはどうやってHIV-1感染を避けるのか 目次へ戻る