Nature ハイライト 進化:初期の節足動物が備えていた複雑な眼 2011年6月30日 Nature 474, 7353 チャールズ・ダーウィンは、眼を「究極まで完成された器官」の1つだと述べ、進化論上の重大な難題だと考えていたが、これは間違いだった。理論では、眼は実際には急速に進化する場合もあると予測されているが、今回、化石記録からこの予測が裏付けられたのである。南オーストラリア州のカンブリア紀前期の頁岩で保存状態の良好な化石が発見され、現在知られている最古の節足動物の中に、一部の現生昆虫の眼によく似た眼を持つものがいたことが明らかになった。その眼は3,000個を超えるレンズ(個眼)からなり、大きなレンズからなる領域によって前方の両眼視野が生じていた。眼の持ち主だった動物の正体は不明であるが、薄暗い環境での生活に適応した大型の捕食性節足動物であったと考えられる。 2011年6月30日号の Nature ハイライト 進化:進化過程で見られた徐々に進む変化 遺伝:海のファージと宿主がとっている「共存共栄」方式 宇宙:赤方偏移の記録を更新した明るいクエーサー 宇宙:エンセラダスプリュームの起源は塩水である 光学:単一原子から放出されるスクイーズド光 進化:初期の節足動物が備えていた複雑な眼 再生医学:心臓の修復 生理:糖尿病と肥満治療の新たな標的候補 医学:マクロファージはどうやってHIV-1感染を避けるのか 目次へ戻る