Nature ハイライト
物理:色付きになったブラウン運動
Nature 478, 7367
ブラウン運動は、粒子と周囲の溶媒分子との高速衝突によって粒子が動く現象である。この熱的な力は、不規則だとされており、白色ガウス雑音スペクトルによって特徴付けられると考えられている。粒子と粘性溶媒との摩擦によって粒子の動きは減衰する。だが、変位した流体は粒子に作用し返すので、流体力学的「記憶」と、色付き雑音スペクトルを持つ熱的な力とが発生する。この色付きスペクトルを直接実験で観測することは困難であるとわかっている。S Jeneyたちは今回、強力な光トラップ中にある微小球のブラウン揺らぎを測定し、色付きスペクトルの明確な証拠を報告している。また、熱的ノイズに関するこうした詳細は、新種センサーの開発やラボ・オン・ア・チップでの応用に向けた粒子ベースのアッセイ法の開発に使えると予想される。