Nature ハイライト 細胞:走化性を応答調節因子レベルに合わせて微調整する 2012年4月12日 Nature 484, 7393 走化性は、細菌が化学的刺激に反応して移動する際に使われる過程で、鞭毛の回転モーターにより駆動される。鞭毛回転モーターは、シグナル伝達タンパク質CheY-Pの細胞内濃度中の狭い作用域に対して非常に高い感受性を示す。だが、定常状態のCheY-P濃度は細胞によって大きくばらついており、大腸菌(Escherichia coli)が鞭毛モーターを使うために、定常状態のCheY-P濃度を必要に応じて高い精度で制御しているということが一体あり得るのかどうかが疑われてきた。H Bergたちは今回、この矛盾した問題に対する答えを見つけた。大腸菌は、モーター中のCheY-P標的タンパク質の数を絶えず調節するという、直感に反するやり方で、この問題を回避しているらしい。制御過程の最後の出力のところでこのような適応的再構築を行うのは、エンジニアリング実践規範の原則には反しているが、こうしたやり方は多くの生物装置に広く見られるようだ。 2012年4月12日号の Nature ハイライト 神経:軸索の標的決定にかかわるタンパク質Teneurin 構造生物学:細胞分裂で染色体を折半する仕組み 宇宙:赤色巨星最後のあえぎ 材料:窒化物半導体のリフトオフ法に向けた第一歩 気候:人為起源のエアロゾルが気候へ与える影響 細胞:走化性を応答調節因子レベルに合わせて微調整する 医学:子癇前症にcorinが果たす役割 細胞:テロメラーゼ合成の初期段階 生化学:ビタミンB12によるメチル基転移 目次へ戻る