Nature ハイライト

宇宙:赤色巨星最後のあえぎ

Nature 484, 7393

中間質量の星は、その一生の終わりに近づくと、質量の多くをガスと塵の形で、低速で高密度の星風に放出することにより失っていく。このようなアウトフローを駆動する基本過程は、そうした放出物質の観測が困難なこともあって、ほとんど解明されていない。Norrisたちは、干渉画像法と高精度微分偏光計測法を組み合わせた革新的な手法を使って、3つの赤色巨星を観測した。それらの画像から、星の周囲には塵の殻があり、その半径は、星の半径の2倍未満と著しく小さいこと、またこれらの殻は、半径ほぼ300ナノメートルの予想外に大きな塵粒子からできていることが明らかになった。これらの観測結果は、星の光の吸収ではなく、散乱による塵粒子の加速に基づく星風駆動モデルを裏付けていると、Norrisたちは考えている。

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