Nature ハイライト
Cover Story:真菌という脅威:自然生態系と食糧確保を脅かす新興病原体
Nature 484, 7393
表紙は、キングズキャニオン国立公園(米国カリフォルニア州)で生き残っている数少ないヤマキアシガエル(Rana muscosa)の一匹である。この公園では、ツボカビ症でカエルが絶滅寸前となっている。真菌感染症は、農作物に広く被害をもたらすとともに、両生類やコウモリ種の個体群で数を激減させている。サンゴやハチ、また多くの植物でも、新たな病原性真菌の出現が報告されている。今週のReviewでM Fisherたちは、 人類の活動が、自然の生態系を改変して進化の新たな機会を作り出すことにより、真菌による疾患の拡散を後押ししていると警告している。Fisherたちは、世界的に広がるこうした感染性疾患のリスクを低下させる措置が取られないかぎり、真菌感染症は生物多様性の縮小を引き起こし、それは人類と生態系の健全性にさらに幅広いかかわりを持つことになると考えている。そして、新たに発生した疾患のより的確な監視、国際貿易に対するバイオセキュリティ管理の厳格化、宿主、病原体と環境の間の相互作用に関する研究の強化などを行うことを勧めている。(Review p.186)