Nature ハイライト 細胞:カロリー制限と腸 2012年6月28日 Nature 486, 7404 適切な栄養摂取を維持しつつ、カロリー摂取を減らすことは、さまざまな生物で寿命を延長する。これはおそらく幹細胞や前駆細胞の機能が保持されるためだと考えられている。D Sabatiniたちは、マウスの腸では、カロリー制限によって自己複製能が増強された腸幹細胞(ISC)の数が増えることを明らかにしている。この影響は、ISCニッチの重要な構成員であるパネート細胞でのmTORシグナル伝達の修飾を介してもたらされる。カロリー制限は、パネート細胞でBst1遺伝子を発現させ、それに続いて、ISCに対してパラクリンに作用するサイクリックADPリボースの分泌を引き起こす。この知見は、幹細胞機能と生物の栄養状態との間のつながりを明らかにしており、mTORC1を阻害する物質、あるいはBst1を模倣する物質が腸の再生と機能を改善する治療に使える可能性を示している。 2012年6月28日号の Nature ハイライト 生態:栄養摂取に新たな次元 細胞:カロリー制限と腸 遺伝:酵母の詳細なヌクレオソーム地図 宇宙:太陽系外惑星うしかい座τ星bに見つかった一酸化炭素 物理:原子核の安全地帯を越えて 化学:炭素–水素結合を活性化する革新的な方法 進化:岸辺をはいずっていたイクチオステガ 遺伝:ボノボゲノム解読で、類人猿ゲノムが勢ぞろい 免疫:T細胞はレヴィウォークで移動する 細胞:薬剤標的としてのTreg細胞 目次へ戻る