Nature ハイライト

医学:アルツハイマー病に対する「自然」防御

Nature 488, 7409

アルツハイマー病は、脳内にアミロイド斑が存在するのが特徴である。アミロイド斑は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)が切断されて形成される。K Stefanssonたちのグループは、約2,000例のゲノムのスクリーニングを行い、アルツハイマー病の症状の見られない高齢者には、APP遺伝子のコード領域に変異が生じていて、これがアルツハイマー病や認知機能低下に対する保護作用を示すことを見いだした。この変異は、in vitroでアミロイド形成ペプチドの産生を約40%低減させる。この強力な保護効果を示す変異は、APPのアスパルチルプロテアーゼのβ部位に隣接していて、このことは、APPのβ部位での切断の低減がアルツハイマー病に対して保護的な効果を持つという仮説の裏付けとなる。この結果は、高齢者のアルツハイマー病と認知機能低下が機構的に関連している可能性も示している。

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