Nature ハイライト
細胞:細胞周期の調節
Nature 444, 7121
Caulobacter crescentus は、湖や小川などにみられる見かけは平凡な細菌である。小型の環状染色体が1 個しかなくて比較的単純な作りのため、細菌が細胞周期の進行を調節する仕組みを研究するためのモデルとしてよく使われる。リン酸転移プロファイリングとよばれるシステム生物学の手法は、シグナル伝達経路のマッピングを迅速に行える方法だが、Biondi たちはC. crescentus でこの方法を用いて、これまで知られていなかったChpT という非常に重要な調節因子を同定した。ChpT は、細胞周期の中心的な調節因子であるCtrA を制御して いる、また今回の研究では、主要な細胞周期調節因子すべての相関関係を示す地図が得られたので、細菌の細胞周期の進行を担っている分子ネットワークの解明が可能になった。
2006年12月14日号の Nature ハイライト
ニュース:科学論文発表問題専用ブログの 立ち上げ
時事:実験動物を考える
進化:琥珀(コハク)の中に眠る大昔の微生物
遺伝:痛みを感じない理由
細胞:細胞周期の調節
宇宙:火星の高地と低地
材料:折り曲げ自在な電子機器
地球:断層での回転
菌類:土の中でこっそり行われている輸送
医学:cytohesin とインスリン