Nature ハイライト
菌類:土の中でこっそり行われている輸送
Nature 444, 7121
菌根菌と植物との共生関係、とりわけグロムス菌門に属する菌類が形成するアーバスキュラー菌根は、陸 上生態系にとって極めて重要である。グロムス菌は、植物が土壌中の養分を取り込むのを助ける代わりに糖質を獲得しており、二酸化炭素の巨大なシンクとなっている。この協力関係の要は共生の接点を介した糖質の輸送であるが、その機構はいまだ明らかにされていない。しかし今回、グロムス菌の単糖輸送体GpMST1 がクローン化され、その性質が調べられた。この研究は、グロムス菌(Geosiphon pyriformis)とシアノバクテリアとの独特な共生関係を利用して行われた。この重要な分子の性質が明らかにされたことで、アーバスキュラー菌根、および炭素の流れへのその寄与についての解明が進むと考えられる。
2006年12月14日号の Nature ハイライト
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菌類:土の中でこっそり行われている輸送
医学:cytohesin とインスリン