Nature ハイライト
宇宙:火星の高地と低地
Nature 444, 7121
火星は、北半球はクレーターがまばらにある低地が多く、南半球のほとんどはクレーターだらけの高地という2 つの地域に分かれた惑星である。火星がこのように二分されている理由を説明しようと多くの説が出されてきた。マーズ・エクスプレスに搭載されたMARSIS レーダーサウンダーによって今回新たに得られたデータを使って、北半球の低地の地殻の年代を確定すれば、これらの説の取捨選択ができるはずだ。レーダー画像からは、北半球の低地に10 か所の衝突盆地が埋もれており、その大部分は表面から見えていないことが明らかになった。こういう地形を考慮すると、南北両半球のクレーター密度はおおよそ同じということになる。この結果から考えられるように、北半球の低地の地殻が、最古の露出した高地の地殻と少なくとも同程度に古いなら ば、両半球の違いは火星の地質学的進化の早期に生じたものなのだろう。
2006年12月14日号の Nature ハイライト
ニュース:科学論文発表問題専用ブログの 立ち上げ
時事:実験動物を考える
進化:琥珀(コハク)の中に眠る大昔の微生物
遺伝:痛みを感じない理由
細胞:細胞周期の調節
宇宙:火星の高地と低地
材料:折り曲げ自在な電子機器
地球:断層での回転
菌類:土の中でこっそり行われている輸送
医学:cytohesin とインスリン